総合健診
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ライフプランニングセンターにおける『新老人』の身体的健康特性に関する検討―第5次循環器疾患基礎調査 (2000) との比較をもとにして―
道場 信孝佐藤 淳子平野 真澄石清水 由紀子鶴若 麻理松原 博義久代 登志男日野原 重明
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2004 年 31 巻 3 号 p. 469-475

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抄録
目的: 高齢者の健康評価においては包括的なアプローチが必要であり, そのような需要を満たす評価基準を策定するには対象とするコホートの身体・心理・社会的特性が明らかでなければならない。今回は『新老人』のコホート (ヘルスリサーチ・ボランティア: HRV群) について, その身体的健康状態の特性を第5次循環器疾患基礎調査の対象群 (general cohort: GN群) との比較で検討したので報告する。対象と方法: HRV群は2002年11月より2003年10月の間に所定の調査と検査が施行された254例 (男性132例, 平均年齢78.4±4.7歳; 女性122例, 平均年齢77.7±3.8歳) , そして, 本研究の対照群 (GN群) は2000年11月1日から11月30日の間に行われた第5次循環器疾患基礎調査の中で, 解析の対象となった70歳以上の対象者1, 531例 (男性635例, 女性896例) である。検討の対象項目は, 既往歴, 身体測定 (BMI, 血圧, 総コレステロール) , 生活習慣 (喫煙) とし, 判定の基準 (肥満, 高コレステロール血症, 高血圧) は, すべて当該調査に示されている方法に準じて行った。結果: 脳血管障害, 心筋梗塞の既往, 狭心症, そして, 糖尿病は両群間で両性についてGC群でHRV群より有意に発症率が高かった。喫煙率は, 男性に関してHRV群よりGN群で有意に高く, 女性では両群間に有意差を認めなかった。肥満に関しては群間で両性とも有意差を示さなかった。高血圧は両性ともHRV群よりGN群で罹病率が有意に高かった。高コレステロール血症は男女ともGN群よりHRV群で有意に多く見られた。結論: HRV群の健康状態の特徴は脳卒中, 虚血性心疾患, 高血圧, 糖尿病, 喫煙が有意に少なく, 高コレステロール血症が有意に多く見られた。以上よりHRV群の身体的健康特性は全体としてGN群より好ましいと評価される。
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