抄録
ガラス基板上に銅微細回路パターンを形成することを目的として,カルボン酸を電子ドナーとする光化学還元法について検討した。銅イオンの光化学還元反応は,UV照射部全面で起こるが,それを水で洗浄するとあらかじめガラス基板上に形成した疎水性のn-octadecyl trimethoxysilaneパターン上にのみ銅析出物が残存した。親水性のガラス表面に析出した銅薄膜は,水のような極性溶媒による洗浄により,選択的にリフトオフされる。析出する銅薄膜の厚さは,UV照射の時間により容易に制御することができる。局部分極曲線の測定の結果,本研究の光化学還元法において混成電位理論が成立することが明らかとなった。