抄録
われわれはこれまで,チタン酸バリウムのナノ粒子分散液を調製し,この液を塗布および乾燥させることでチタン酸バリウムナノ粒子堆積薄膜を作製してきた。今回は,プリント配線板内蔵用高容量薄膜コンデンサの開発を目的に,現在工業的に用いられているroll to rollプロセスで,銅箔上にチタン酸バリウムナノ粒子堆積薄膜を連続形成した。得られた薄膜はクラックなどがなくおおむね平滑であり,1 MHzでの容量密度は39 nF/cm2,誘電損失は7.2%であった。さらに,得られた薄膜表面からエポキシ樹脂を塗布して封孔することで,誘電損失,耐電圧,抵抗率などの諸特性を向上させることができ,1 MHzでの容量密度は36 nF/cm2,誘電損失は2.3%であった。