抄録
CPUなど半導体素子の発熱量増大に対応するため,より柔軟で熱伝導性に優れる接続材料が求められている。しかし,熱伝導粒子を樹脂中にランダムに分散した従来の熱伝導材料では,柔軟性,熱伝導性ともに限界に達していた。そこでわれわれは,コンポジットシートの構造制御により柔軟性と高熱伝導性の両立を図ることを試みた。その結果,黒鉛粒子を異方性形状に加工し,アクリルポリマー中で膜厚方向に配向,かつ貫通させることにより,従来品の10倍以上の熱伝導率と優れた柔軟性を示すシートを開発した。さらにこのシートの実使用条件での特性を調査した結果,圧縮応力下での黒鉛粒子の配向維持による高い復元性と優れた耐熱性,耐熱衝撃性を示すことを確認した。