抄録
FC-PKG技術の実用化において,PKG基板とシリコンチップの熱膨張係数(CTE)の差異による反りが問題となっており,PKG基板の低CTE化が望まれている。本研究では,ナノシリカの高密度充填によりPKG基板を構成する銅張積層板の低CTE化の実現を目的とし,シミュレーションと実験の両面より検討を行った。有限要素シミュレーションより,FC-PKG基板のCTEが重要であることが示された。粒子径25 nmのナノシリカの導入は,樹脂基板のガラス転移温度(Tg)の低下とCTEの増加をもたらした。熱分析より架橋反応が不十分であることが示された。これはシランカップリング剤と反応していないナノシリカ表面のシラノール基の酸性によりもたらされるものと推測した。高温,長時間の硬化処理は,Tgの上昇およびTg以上のCTE(α2)の減少をもたらした。低CTEをもつ新規ポリイミド系樹脂をマトリックスとして用い,かつシリカ充填量を45 vol%まで上昇させることにより,従来材より5 ppm/Kも低いCTEを有するPKG基板を作製することが可能になった。