抄録
本研究では,低温・低荷重での接合を必要とする箇所へのフィラーメタルを用いた低温接合法の適用を目的として,SnとNiの接合部に対し,Snとの間で低温の共晶点を有するInを適用し,界面特性に及ぼすフィラーメタルの適用効果について検討した。その結果,フィラーメタルを適用することで,約30 K低温でSn中で母材破断する接続部を形成可能であることがわかった。これは,接合部に一時的に液相を形成することで,接合初期における接合面の密着化が達成され,接合面の酸化皮膜の分解とその後のSnとNiの反応拡散層形成が促進されることで,より低温・低変形量で高い引張強さを有する継手が得られたものと推察される。