2023 年 26 巻 6 号 p. 598-605
パワーモジュールのはんだ接合部エレクトロマイグレーション(EM)は,潜在的な信頼性問題と認識されている。本論文では,Cu/Ni-P/Sn-0.7Cu/Ni-P/Cu接合部の交流に対するEM基本現象(条件:175°C,50 A/mm2)を明らかにする。交流における反転電流の影響を観察するため,直流電流を96時間毎と48時間毎に反転させた。直流のEMではNi-P層が変性したPリッチ層が成長し,そこにボイドが生じて断線に至る。交流のEMでは,電流方向に応じて,Ni原子はNi-P層から可逆的にEM拡散し,Pリッチ層厚を増減させ,結果的に成長を抑制した。さらに,短周期のほうがPリッチ層の成長を抑制した。