抄録
半導体パッケージは, 高機能, 小型化, 低コストという電子機器および半導体デバイスの高機能や高速性などの性能を最大限引き出すため, 基板への実装部品として重要な役割を担っている。それに伴ってパッケージのI/Oピン数の増加, サイズの小型化, 軽量化, 薄形化を同時に達成することを必要としている。この要求を満たすために新しい技術であるChip Scale Package (CSP) の導入が図られてきた。Chip Scale Package (CSP) は, 金属, セラミックス, プラスチックス等の無機および有機材料が多く使用されており, その構造はきわめて複雑でかつ異種材料接着接合よりなる。CSPの強度信頼性の諸問題は多岐にわたるが, パッケージのそりおよびはんだ熱疲労問題が顕著に現れる。はんだ接合部の破壊は, 異種材料問の熱応力により, はんだ塑性およびクリープ変形の永久ひずみが原因である。はんだ疲労解析に関する論文は数多く出されているが, パッケージそり, 封止樹脂およびダイアタッチ材料特性による影響が議論不足である。そこで, 本研究では今まで論議されてこなかったパッケージのそりの影響をはんだの応力解析に取り入れるため, パッケージのそりは粘弾性解析で解き, 続いてはんだの応力解析はクリープ粘塑性解析で解いた。パッケージおよび実装後の基板のそりを実験値と相関をとった後, クリープ粘塑性解析で温度サイクル時のはんだひずみエネルギ密度を求め, パッケージのそりとはんだ疲労寿命の相関を求めた。その後, パッケージのそりとはんだ疲労寿命に対する封止樹脂およびダイアタッチ材料の特性化を試みた。また, 環境問題の点から将来実用化が見込まれる無鉛はんだのクリープひずみを特性化し鉛・スズ共晶はんだとの比較を実施した。さらに, 2P Weibullと3P Weibull累積不良率分布の比較を実施した。