2006 年 9 巻 6 号 p. 465-471
本研究では, サブミクロン金粒子焼結体を対象として焼結試験片を用いて機械的特性を評価するとともに, フリップチップ接合バンプ試験片に対して機械的せん断疲労試験を行い低サイクル疲労特性について検討した。サブミクロン金粒子焼結体は, 粒子サイズに起因して焼結温度によって微視組織が大きく異なる。焼結温度の増大とともに, 粒子が溶けずに集合体組織を形成するクラスター構造からスポンジ状の多孔質体へと変化する。機械的性質は, 焼結温度によって大きく異なっており, 微視組織の影響が顕著に現れている。フリップチップ接合体の機械的せん断疲労試験では, 界面破壊が支配的な場合には寿命は低くなるもののバンプ内での疲労破壊の場合には鉛フリーはんだ材料と比較しても同程度の寿命特性を有していることがわかった。金焼結体では, 引張強度だけでなく弾性定数も低い値となっているため接合体の上下の変形ミスマッチの多くを弾性変形が吸収する。このため, 変位制御型の疲労試験においては相対的に非線形ひずみの蓄積が減少するため, 同じ負荷変位に対しては従来のはんだ材料と比較しても高寿命になると考えられる。