2026 年 74 巻 2 号 p. 96-110
本実践では,高校1年生の数学を対象に,毎回の授業の振り返りから復習へと至る「学習の自己調整」を想定して指導を行った。1学期の指導では,授業の最後に行う振り返りの中で,復習で取り組むべき課題についても記述をさせることで復習を促した。また,復習の質を高めるため,問題解決後に解き方のポイントをメモする「教訓帰納」の重要性も折に触れて伝えるようにした。しかし,振り返りには公式を記憶することや繰り返し解くことを志向した記述が多く見られ,復習で取り組むべき課題として深い理解を志向した記述をしていても実際の復習には反映されていないなどの問題が見られた。そこで2学期の指導では,つまずきのタイプや,それに応じた課題設定例をまとめた表などを盛り込んだ「振り返りシート」を導入し,他の生徒の振り返りの記述や復習の例も示すようにした。その結果,2学期の振り返りでは,解法や公式の根拠を理解することを重視した記述が増加し,振り返りでの記述と実際の復習の間にもつながりが見られるようになるなどの変化が認められた。最後に,授業を中心とした日々の指導に「学習の自己調整」を取り入れていくことの重要性について論じた。