日本教育工学会論文誌
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要請対象者の違いと学業的援助要請の質の関連 : 要請に対する教師の好みと承認の認知及び要請理由との関連からの検討
野崎 秀正石井 眞治
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2005 年 29 巻 2 号 p. 163-170

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抄録
学業的援助要請とは, 学習者が自力で解決できない課題を解くために, 他者に助言を求める行為のことである.本研究の目的は, 教師に対する要請(対教師要請)と友人に対する要請(対友人要請)に焦点を当て, 両者の質の違いを要請に対する教師の好みと承認の認知及び要請理由との関連から明らかにすることであった.主な結果は以下の通りである.対教師要請に対する教師の好みと承認の認知がともに対友人要請に対するそれよりも有意に高かった.また, 対教師要請は自律的理由と正の相関を示し, 対友人要請は依存的理由と正の相関を示した.さらに, 依存的理由が教師の承認の認知を媒介して, 対教師要請に負の影響を及ぼすことが明らかになった.これらの結果から, 主に対教師要請は適応的援助要請, 対友人要請は依存的援助要請の傾向があること, また, 対教師要請が適応的援助要請の傾向を示す原因としては, 教師の承認の認知が影響することが考えられた.
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© 2005 日本教育工学会
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