日本教育工学会論文誌
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知的障害者が働く作業現場におけるデジタルカメラ活用の効果
永澤 精一熊井 正之渡部 信一
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2008 年 31 巻 4 号 p. 487-494

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抄録
5名の知的障害者が働く清掃作業現場においてデジタルカメラを活用する実践を行った.1.知的障害者がデジタルカメラで作業コース上の落ち葉やゴミを撮影する,2.作業場所を示す地図上に撮影した写真を貼る,3.撮影された写真と地図をもとにどの部分が汚れているか共通理解できるよう打ち合わせを行う,という手続きをとった.実践が進むにしたがい,撮影では全員がより重要な情報を映し出すようになった.写真を地図上に貼ったところ,どこから落ち葉が飛んでくるかを考えるようになり対象者間の会話が促進した.共通理解のための打ち合わせを行ったところ,落ち葉のたまった場所や量を確認して自発的に落ち葉の多い場所の作業を行うようになり,最終的には状況に応じた協同作業が可能になった.このような変化によって作業の効率が上がった.これらの結果から,デジタルカメラの導入が知的障害者の作業を支援する中上で有効であることが確認された.
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© 2008 日本教育工学会
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