抄録
教員養成系大学院の指導実習において,参加した全ての実習生の「ふりかえり」を促すことを目的として,静止画像教材を開発した.授業の「ふりかえり」は教員の成長を促進し,教員養成の中核をなすものである.指導実習の「ふりかえり」では,実習生が自分の指導について後からふりかえって考えること,そして,個人的な「ふりかえり」について実習生が相互理解を深めることを目的としている.そのためには,「ふりかえり」の対象となる1つ1つの行為について実習生が確認し合い,互いの経験を理解し合うのに有効な視覚教材の開発を必要とする.従来,授業の「ふりかえり」ではビデオ映像を多用している.ビデオ映像は情報量が多いので,実習生の「ふりかえり」を支援するために,何らかの工夫が求められる.そこで本研究では,ビデオ映像から対象シーンを複数枚の連続する静止画像として取り出し,それに大学教員による簡単な説明文をつけた静止画像教材を考案した.実際に静止画像教材を指導実習において活用した結果,その有効性を確認することができた.