抄録
本研究では,製造技術教育に直接関わると考えられる「ものづくり」に対する意識を測定することを目的として,大学生を対象とした心理尺度の開発を行った.特に,「ものづくり」教育に関係する他の教科における心理状態として,コンピュータ不安および数学不安と「ものづくり」に対する意識との関連に焦点を当て,尺度の妥当性検証を含めた2回に渡る調査を実施した.結果として,「ものづくり」意識尺度の内的整合性,因子的妥当性および交差妥当性が確認された.また,コンピュータの操作・学習や数学の学習に対する不安が高い学生ほど,「ものづくり」に対する否定的意識が高いことが示唆された.また,理工系学部学生においても,所属する学科の特性によって,コンピュータ不安および数学不安と「ものづくり」意識との関連に差異が存在することが示唆された.