日本教育工学会論文誌
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日本語作文支援における共起を利用した代替候補提示システム(<特集>学習・教育支援のための技術開発)
中野 てい子冨浦 洋一
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2010 年 34 巻 3 号 p. 181-189

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抄録

日本語学習者が産出する名詞n,格助詞c,動詞vから成る不自然な共起表現<n,c,v>の中には,動詞選択の誤りに起因するものがある.本稿では,学習者が入力する共起表現<n,c,v>のvに対する適切な代替動詞候補を与える手法を提案する.不自然な共起表現中の動詞(誤用動詞)とそれを適切な動詞に修正したもの(正用動詞)とは出現環境が類似している傾向にあると考えられる.この仮説に基づき,大規模な母語話者コーパスから得られる統計情報を用いて,n,cとの共起が自然と言える代替動詞候補を,学習者が入力した共起表現の動詞との出現環境の類似度の降順に提示する.日本語学習者に提案手法に基づいた作文支援システムを使って自ら作文した文の校正をさせた結果,学習者の作文中の不自然な共起表現が被験者全体で30%減少した.この結果から,本システムが学習者の共起表現における単語選択の支援に有用であることが示された.

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© 2010 日本教育工学会
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