日本教育工学会論文誌
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文章表現授業における大学生のピア・レスポンス指向性の変化と要因の分析(<特集>大学教育の改善・FD)
冨永 敦子
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2012 年 36 巻 3 号 p. 301-311

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抄録

ピア・レスポンスに対する指向性を測るための質問紙を作成し,調査を行った.調査対象は文章表現授業においてピア・レスポンスを行った大学生,調査時期は授業初回時と授業最終回時であった.探索的因子分析および確認的因子分析の結果,ピア指向性としてピア親和性,意見開示抵抗感,意見受入不愉快感の3因子が抽出された.ピア親和性は授業初回よりも授業最終回のほうが有意に高くなり,意見開示抵抗感と意見受入不愉快感は授業初回よりも授業最終回のほうが有意に低くなった.しかしながら,ピア親和性の低い学習者や意見受入不愉快感が高い学習者は,ほかの学習者に比べて,ピアに対する評価が有意に低かった.一方,文章力テストの成績は,ピア親和性,意見開示抵抗感,意見受入不愉快感の高低に関わらず,授業後,有意に高くなった.

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© 2012 日本教育工学会
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