日本教育工学会論文誌
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教育実践研究論文
家庭における視聴ログとノート作成に着目した反転授業の分析
稲垣 忠佐藤 靖泰
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2015 年 39 巻 2 号 p. 97-105

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抄録

家庭で事前に学習内容に関するビデオを視聴し,授業では学習事項の確認の後,発展的な問題に取り組む「反転授業」の試みが広まりつつある.本研究では,小学校6年算数科「比例と反比例」の単元において反転授業を実施した.家庭における児童の視聴ログ,作成されたノート,事前・事後テストの結果をもとに家庭学習の影響を分析した.その結果,以下の4点が明らかになった.1)反転授業を実施した結果,下位群の児童にも一定の知識の定着が確認された.2)家庭におけるビデオ視聴の際,上位群は視聴時間で下位群を上回り,小刻みに停止しながら視聴する割合が高い.下位群は十分な視聴ができていない.3)上位群は十分なノートを作成していた一方,下位群は解き方や自己評価に関する記述が少ない.4)下位群の児童の中で学習後に上位に改善された児童は,家庭・授業時間ともノートの記述内容が充実していた.

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© 2015 日本教育工学会
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