日本教育工学会論文誌
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論文
教室内の言語調整の練習を支援するシステムの開発
実習生の意識と言語使用に注目した評価
歌代 崇史須藤 むつ子
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2017 年 41 巻 2 号 p. 109-123

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抄録

本研究では教室内の言語調整の練習を支援するシステムT3を開発し,T3を使用した教授が日本語教育の実習生(実験参加者)にどのような効果をもたらすか,意識と言語使用の観点から検討した.大学の日本語教員養成課程に日本語教授法という実践を重視し,模擬授業を行う科目がある.その科目の履修者を対象に,通常の授業の中でT3を用いた教授を受ける群(T3群)と受けない群(NT3群,補完授業あり)を作り,両群に質問紙調査及びティーチャートーク・テストを実施し,実習生の言語調整に対する意識,ティーチャートーク・テストにおける想定発話の適 切さ及び,言語的変化を測定,分析した.その結果,質問紙調査ではT3群において,教授上のジェスチャーに対する意識が有意に向上した.また,ティーチャートーク・テストから,T3群の想定発話文において,対象の学習者にとって既習の語彙及び既習の文型の比率が増加し,言語調整 の適切さも向上することが示された.

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© 2017 日本教育工学会
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