2018 年 41 巻 3 号 p. 245-253
自ら学ぶ姿勢を持ち,学んだ知識を用いて他者との協働の中で情報通信技術を活用しながら未知の問題解決に応用する能力の育成が教育に求められている.このような能力の育成を行うべく,ピアラーニングの一形態としてのペアプログラミング,ならびに基礎的な学習事項の事前学習と応用問題を扱う対面授業からなる反転授業を大学のコンピュータシミュレーション実習に導入した.本研究では,授業改善の方針を見いだすため,この授業における履修者の学習活動に焦点を当て,彼らの授業内外の学習活動を学習管理システム上の学習記録やアクセスログ,そして授業後のアンケートの分析を通して探った.その結果,事前学習を通した基本的な学習内容の深い理解,対面授業における課題内容の深い理解を試みる活動,そして自身とのプログラミングのスキルが近い履修者との協調的な学びが学習内容の深い理解の上で重要であることが示唆された.