本研究では,統計的リテラシーにおける批判的思考尺度を開発した.GAL(2002)の統計的リテラシー概念や,複数の既存の尺度を参考に質問項目を作成し,高校生192名の評定値に基づいて因子分析をおこなった結果,「数値やデータへの関心」,「懐疑的・複眼的な見方」,「他者との関わり」の3因子18項目からなる尺度が構成された.「数値やデータへの関心」因子は統計的リテラシーにおける知識的要素の部分を強く反映し,「懐疑的・複眼的な見方」・「他者との関わり」因子は,気質的要素の部分を強く反映していることが示唆された.今後は対象者数を増やしたり,再調査を実施したりして尺度の完成度を高めることが課題である.