2019 年 43 巻 3 号 p. 253-265
本研究では,日本におけるインストラクショナルデザイン(ID)の先行研究をレビューし,研究動向を整理した.2003年から2018年までの教育工学領域の論文から72編のID 研究論文が抽出され,ここ10年の論文数は横ばいであった.そのうち61編が実践系の論文に位置づけられ,とくに「教育実践の改善および学習環境づくり」での活用が顕著であることが示された.教育現場における実践報告が多くの割合を占める一方で,実践研究と基盤的研究との往還やID 本来の趣旨である教育設計時の活用に関しての課題が明らかになった.