2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 165-168
本研究の目的は,学部の専門教育として実施されるゼミナールの授業外活動について,学生の振り返りを基に,構成員や外部とのかかわりとその中で経験する苦労や困難の実態を明らかにすることであった.社会学や経済学など,出身ゼミナールの異なる7名の卒業生を対象に,60分程度の半構造化インタビュー調査を実施し,質的データ分析を行った.その結果,(a)授業内の学習活動を下地とする,(b)教員不在で学生が主導する,(c)遊びと学習の性格が混在するという3つの要素が取り出された.それらに該当する活動の多くは,教員の信念から学生の主体性が尊重される傾向にあり,多様な人々との交流を通じて継続的で強固なつながりが生まれるだけでなく,メンバーとの葛藤や取り組みのハードさに悩む様子も示唆された.