日本教育工学会論文誌
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43 巻, Suppl. 号
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ショートレター
  • 根本 淳子, 市川 尚
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 1-4
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    [早期公開] 公開日: 2019/10/04
    ジャーナル フリー

    本研究では,学習者が「学びのデザインスキル」として教授設計スキルを習得できる大学教養科目を設計・実施した.主体的な活動を意図した個人活動とグループワークを通じ,長期的目標を踏まえた学習計画の立案に取り組んだ.学習者は授業内容である学びのデザインスキル習得と学習者中心の学び合う学習活動の両方を受け入れ,これらのスキル向上を実感していた.また,学習内容の理解が学び合う活動の重要性や魅力の認識につながる可能性が示唆された.

  • 藤木 大介
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 5-8
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    ジャーナル フリー

    教授学習に関するメタ認知的知識の誤りは不適切な教授行動や学習行動に結びつく.そこで,学習者から教授者へと立場を変えていく端緒にある教員養成課程の新入生を対象に,共同での課題解決の効果に関する知識の正確さを検討した.これまでの研究から,ブレーンストーミングのような共同でのアイデア生成は単独で生成する際と比べ,その量と質の両面で劣ることが知られているが,調査の結果,共同でのアイデア生成を行うことが優れた成果に結びつくという誤った知識を持った者が多く,またその確信度も高いことが明らかとなった.教授する立場となる者は学習者に誤った信念を与えないよう,適切な共同に関する知識について学ぶべきであろう.

  • 柏木 治美, 康 敏, 大月 一弘
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 9-12
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    ジャーナル フリー

    本研究ではTVML Player X を用い,外国語口頭練習においてCG キャラクタの発話内容を選択して会話の展開が変えられるよう,外部からの入力(教師側の選択)があれば,それに関連づけたCG キャラクタの発話内容(テキストデータ)を取得して,TVML スクリプトに変換しCG コンテンツの表示プレイヤーに送信するツールを検討した.CG キャラクタの発話内容はある程度容易に変更できるよう,外部テキストファイルにより管理した.実験の結果,CG キャラクタの発話内容が変わるしくみは有効に活かせることが示唆された.一方,外部テキストファイルを用いてCG キャラクタの発話内容を容易に変更できるかどうかは,今後の検討課題となった.

  • 山崎 智仁, 水内 豊和
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 13-16
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    ジャーナル フリー

    「苦手」「嫌い」といった否定的なことを言ってはいけないと誤学習している知的障害特別支援学校の小学5年生の自閉スペクトラム症児に対し,様々なICT を活用したコミュニケーションの指導を行なった.マインドマップアプリを活用することで,自分の本当の気持ちを教師に伝えられるようになったり,VOCA アプリを手掛かりにすることで給食の量を自己選択して会食したりできるようになった.コミュニケーションの発達の結果,学校場面だけでなく,家庭においても苦手な食材の食べる量を家族に自己申告して食事する児童の姿が見られるようになった.

  • 野﨑 秀正
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 17-20
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    [早期公開] 公開日: 2019/07/26
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,学習者がもともと抱いている仲間との協同活動に対する信念の違いにより,グループでの協同(教え合い)の学業達成に対する効果が異なるのかどうかについて,個人差レベルとグループ間差レベルの違いを同時に考慮する階層線形モデル(HLM)により検討することであった.統計の授業を受講している大学生46名を対象に,授業内容に関するグループでの教え合い活動とその前後で2回の客観テストを実施し,事前テストと比した事後テストの成績が協同活動に対する信念の個人差により異なるかどうかを検討した.その結果,協同活動に対するネガティブな信念の高さが,仲間との教え合いによる学習効果を妨げることが明らかになった.さらに,この傾向はグループの違いに関係なく一様にみられる結果であることが明らかになった.

  • 島田 英昭
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 21-24
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    ジャーナル フリー

    本研究は,教材の読解初期の短時間情報処理プロセスを対象に,挿絵を含む教材の版面率が動機づけに及ぼす影響を検討した.大学生20名を対象に,版面率と挿絵の有無を操作した6条件の防災教材を作成し,1種ずつ2秒間提示し,それぞれ動機づけと主観的わかりやすさの評価を求めた.その後,同じ教材を1種ずつ時間制限なく提示し,主観的情報量と主観的効率性の評価を求めた.その結果,挿絵があり,版面率が小さい教材において,動機づけ効果が大きく,主観的わかりやすさも大きいことが明らかになった.また,挿絵は文字に比べて主観的情報量の増分が小さく,挿絵がある教材では主観的効率性が高いことが明らかになった.

  • 知識構成型ジグソー法の局所方略を対象にした研修の実践
    笠井 俊信, 大﨑 理乃, 益川 弘如, 林 雄介
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 25-28
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    ジャーナル フリー

    「どのように学ぶか」が重視されるようになった学校教育において,教師はそれぞれの授業で達成すべき教育目標を踏まえ,どのような学び方が適切かを考えることが求められる.本研究では,知識構成型ジグソー法を組み込んだ授業を対象に,その学びの構成原理のモデル化に基づいた教員研修支援を行ってきた.本稿では,このモデルを活用した複数の授業方略に基づいた幅広い対案作成支援による教員研修の試みとその効果について報告する.本実践の結果,本研究で提案する手法が教師による幅広い対案作成に有効であること,幅広い対案作成がより良い授業設計に有効であることが示された.

  • 中廣 健治, 下村 勉, 中井 健二
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 29-32
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    ジャーナル フリー

    協働学習においては,相手との対等な関係が不可欠な要因だと言われている.特別支援学校と一般高校,それぞれに在籍する同世代の生徒間での協働学習を成立させることは,共生社会を目指すうえで,教育に求められる姿だと考えている.本実践研究では,両校の生徒が自己有能感を得ることやプログラミングスキルを向上させるほか,一般高校の生徒が特別支援学校の生徒に関心を持つ機会にもなるとの考えに基づいて,特別支援学校と一般高校間で行った1年間のプログラミング教育における成果物の共有とコメント活動による協働学習の成果と課題を報告する.

  • 山本 良太, 中谷 良規, 巳波 弘佳, 藤井 恭子, 飯田 健司, 山内 祐平
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 33-36
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    ジャーナル フリー

    本稿の目的は,正課外学習活動のひとつの支援方法をデザインし,実践事例を通してその効果を考察することである.正課外学習活動へ継続的に参加する学生と,未経験の学生両者を支援するために連携の機会を設け,前者には改善への批判的な省察とそのための視点獲得を,後者には正課外学習活動への参加意欲の喚起を意図した.連携終了後の自由記述の省察レポートを分析した結果,意図した効果が得られたことが分かった.この結果は,連携における互恵的関係から得られたことが示唆されたことから,連携のマッチングが重要であると考えられる.

  • 箕浦 恵美子, 武岡 さおり, 廖 宸一
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 37-40
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    [早期公開] 公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    本研究では,著者らが開発した,速く正確なキータッチと正確な文節変換や漢字変換を学習する日本語入力練習システムを利用したタイピング学習を通して,持続的な学習につなげる効果的な指導法について検討した.一定量の授業外学習を指示するとともに授業内で学習履歴情報を提示し,学習意欲を刺激することでクラス全体の学習回数が増加し,指示された量の授業外学習を達成できない学習者の割合が大幅に減少した.その結果,初回授業時のタイピング速度が遅かった年度においても1セメスターで一定レベルまで向上させることができ,学習履歴情報の提示は持続的な技能学習に有用であることが示唆された.

  • 八木澤 史子, 佐藤 和紀, 堀田 龍也
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 41-44
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    ジャーナル フリー

    小学校における1人1台の情報端末を活用した授業での教師の教授行動の傾向を明らかにするため,授業映像により観察された発話や機器操作等の教授行動を教育実習生の教授スキルに関する先行研究を参考に23項目に分類し,分析した.結果,以下の3点の教授行動の割合が高かった.1)学習内容の提示や児童への問いかけなど教材内容を児童に理解させるための教授行動.2)指示や応答,発問など教師と児童とのやりとりの際の発話に関する教授行動.3)教師が実物投影機や電子黒板を使って資料を提示し,学級全体に指導を行う教授行動.いずれの結果においても1人1台端末を対象としていない先行研究と同様の傾向であった.

  • 山本 朋弘, 堀田 龍也
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 45-48
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    ジャーナル フリー

    小学校プログラミング授業で,協調的プログラミングの一方法であるペアプログラミングと,一人1台の情報端末でのプログラミング(以後:一人1台)による授業を小学校6年の2学級で交互に実施し,児童の意識の変容を一人1台と比較して検証した.授業後の児童向け意識調査を分析した結果,ペアプログラミングが一人1台よりも協力度や計画性等で有意に高い結果であった.このことから,小学校高学年でのペアプログラミングが,児童のICT 活用スキルに依存することなく,児童が計画して協力しながら学習を展開できることを示した.

  • 林 康成, 島田 英昭, 三崎 隆
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 49-52
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    ジャーナル フリー

    本研究は,ペアプログラミングにおいて,ペアとして構成される2人の学習者がペア以外の学習者と協働的に関わることによる学習効率および課題達成プロセスへの影響を明らかにすることを目的とした.小学校第4学年2学級の学習者52名(26ペア)を対象としたペアプログラミングの授業において,協働的な関わりをペア内に制限したクラスと,ペア内だけではなく,自由な立ち歩きを許し,ペア以外の学習者との協働的な情報交換を行ったクラスを比較した.その結果,立ち歩きにより協働的な情報交換をペア以外の学習者と行うことで,課題達成プロセスにおける発話に伴う説明効率が向上し課題達成時間が短くなり,学習効率が向上することが明らかになった.

  • 原田 織子, 加藤 浩
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 53-56
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    [早期公開] 公開日: 2019/11/25
    ジャーナル フリー

    本稿では,遠隔教育で学ぶ学生の孤独感の緩和と学習へのモチベーション向上を目的として開発したWeb システム「バーチャル自習室~オキ朗~」について報告する.システムは,WebRTCを用いた動画か画像のみ表示される「自習室」と音声通話とチャットのみの「休憩室」の2つの機能を中心として構成される.実験から,学生の孤独感の緩和には有効性が示唆されたが,独習支援に繋げるためにはさらなる改良が必要であることが明らかになった.

  • 清水 優菜, 山本 光
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 57-60
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    ジャーナル フリー

    本研究は,教員養成課程の大学生を対象に,小学校での教育実習前後における教授・学習観の変容,および教育実習のエンゲージメントが教授・学習観に与える影響を検討した.はじめに,実習前後での教授・学習観の変化について,実習後に構成主義的教授・学習観は高まるが,直接伝達主義的教授・学習観は低くなることが明らかとなった.次に,教育実習のエンゲージメントと教授・学習観の関連について,実習前の教授・学習観が実習後の教授・学習観に,実習エンゲージメントが実習後の構成主義的教授・学習観に正の影響を与えることが示された.また,実習前の構成主義的教授・学習観は,実習エンゲージメントに正の影響を与えることが示された.

  • 佐藤 朝美, 松河 秀哉, 椿本 弥生, 荒木 淳子, 中村 恵, 松山 由美子, 堀田 博史
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 61-64
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    [早期公開] 公開日: 2019/08/13
    ジャーナル フリー

    本研究では,保護者が子どもの成長や学びについて深く考えるために,デジタルストーリーテリングワークショップを開発し,その効果を明らかにすることを目的とする.園で撮影された写真を用いた活動をデザインし,実践した結果,子どもの成長だけでなく,保護者自身,園や先生の役割についての振り返りが促されていた.また保育者からは,本WS のDST 作品や保護者の対話に対して,「子どもを共に育てる」気持ちを共有できたというポジティブな見解が示された.

  • 高橋 純, 内海 裕介
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 65-68
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    [早期公開] 公開日: 2019/10/30
    ジャーナル フリー

    小学校での保護者からの欠席連絡について,従来の電話の利用に加えて,ICT による連絡を行えるようにした.そこで本研究では,ICT を活用した保護者からの欠席連絡の状況を事例から明らかにすることとした.その結果,約20ヶ月間に,システムを経由して3,680件の欠席連絡が行われていた.土日や夏休みも含めて平均を求めると,1日あたり6.0件であった.曜日別,時刻別でみると,朝7時台にピークがみられ,土日や真夜中など,電話であれば連絡が難しいタイミングや,教員の勤務時間外での欠席連絡も数多くみられた.電話に代わり,本システムが活用された割合は32.4%であると試算され,教員にとっても,保護者にとっても,利便性の高い仕組みであることが示唆された.

  • 小学校第4学年「電流の働き」単元の事例
    中山 迅, 小牧 啓介, 野添 生, 安影 亜紀, 徳永 悟, 新地 辰朗
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 69-72
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    [早期公開] 公開日: 2019/11/25
    ジャーナル フリー

    改訂後の小学校学習指導要領で求められているプログラミング体験について,理科の教育目標や内容と整合しない学習活動に陥る危険性に着目し,その解決策について授業実践を通して事例的に検討した.小学校第4学年理科の「電流の働き」単元において,児童が作成・実行したプログラムについて,科学の言葉を用いた説明を行う活動を取り入れたところ,プログラムによって制御されたモーターで動く車の動作について,「電流」という言葉を用いて行う科学的な説明に向上が見られた.このことから,小学校理科の問題解決的な学習にプログラミング体験を日常生活と関連した文脈における「ものづくり」の活動として組み込むことで,プログラミング体験と理科の教育目標にそった問題解決の学習を整合的に実施できることが事例的に確認できた.

  • 岡田 有司, 渡邉 文枝
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 73-76
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    ジャーナル フリー

    本研究では,教養教育科目における授業選択理由がどのような側面から捉えられるのかを検討した上で,教養教育の履修条件や大学生活動機が授業選択理由に与える影響について明らかにすることを目的とした.大学生2872名のデータ分析から以下のことが明らかにされた.まず,因子分析の結果,教養教育科目における授業選択理由は「自律的選択」「周囲からの影響」「単位取得の容易さ」の3つの側面から捉えられた.重回帰分析からは,大学生活動機は授業選択理由に相対的に強い影響を与えていることが示された.また,教養教育の履修条件や学生の属性に関する要因の一部も授業選択理由と関連のあることが明らかになった.

  • 本間 優子
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 77-80
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    [早期公開] 公開日: 2019/08/30
    ジャーナル フリー

    本研究では通級指導教室に在籍する発達障害傾向のある男児6名を対象に,タブレット端末を用いたデジタル絵本による役割取得能力の促進に関するトレーニングを行った.統制群としてトレーニングを受けない男児6名も設定した.トレーニングの効果として1)介入群の方が統制群よりも役割取得能力の発達段階が1段階上に上昇する対象児が多い2)介入群のソーシャルスキル尺度の改善および在籍校の担任教諭の自由記述から対象児にポジティブな行動の変化が確認された.

  • 坂井 裕紀, 藤本 徹, 池尻 良平
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 81-84
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    [早期公開] 公開日: 2019/10/31
    ジャーナル フリー

    本研究では,世界の持続可能性を追求する地域人材育成をテーマとし,ゲーム要素を付与したプロジェクト学習が生徒の学習意欲とキャリアビジョンに及ぼす影響を検討した.高校1年男女256名を対象に授業実施前後において質問紙調査を行った結果,本授業を実施した群においては,授業実施前後で生徒の「学習意欲」および「キャリアビジョン」が有意に高いことが示された.これらのことから本授業のようなテーマにゲーム要素を付与したプロジェクト学習は生徒の学習意欲およびキャリアビジョンを高める可能性が示唆された.

  • 冨田 幸子, 野口 聡
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 85-88
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    ジャーナル フリー

    中学校国語の中で,生徒が苦手意識を抱く分野として文法がある.本研究では,中学校3年生を対象に国語の文法分野でグループ学習に取り組む学級と,教員による一斉授業を行う学級を設け,実践前後の習熟度のテスト,理解への自己評価をはかるアンケート,グループ学習をどう捉えているかの調査(自由記述)を実施した.その結果,グループ学習の条件を整えれば,事前事後の得点差の平均値が,グループ学習群は一斉授業群よりも大きくなり習熟度の高まる傾向がみられると共に,グループ学習に対する満足度も高かった.一方で,テストの得点と理解への自己評価得点間の相関は,グループ学習群は一斉授業群よりもやや低い傾向がみられた.

  • 松原 行宏, 河野 貴範, 岡本 勝
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 89-92
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    ジャーナル フリー

    力覚提示を用いた学習支援システムが開発されている.また擬似力覚提示と呼ばれる視覚的フィードバックのみで力覚を発生させる手法がある.我々は擬似力覚提示を力覚提示の代替手法としての利用検討を行っており,既に正誤のフィードバックとして擬似力覚提示を漢字の筆順の学習支援に適応した研究を行った.本研究では,正誤のフィードバックと異なる用途である学習者への提示量伝達を提示目的として,提示量が学習に大きく関係する題材である滑車学習のための擬似力覚提示手法の検討を行った.手法の検討後,力覚提示,擬似力覚提示によるフィードバックを用いた滑車学習支援システムを構築し,システムを用いた被験者実験を行った.

  • 鳥井 新太, 上舘(山口) 美緒里, 久保田 賢一
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 93-96
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,フィリピンの小学校教師が問題解決型学習や探究学習を促す授業を行うために,授業設計の問題を明らかにすることである.教師が教材研究で参考にする資料と,それを参考にする理由,教授方略の選択方法を分析した結果,①教師が学習内容を説明して,児童がその内容を楽しく覚えるための教材作成に重きがある授業を設計していたこと,②中堅以上の教師または理科教師以外は,問題解決型学習や探究学習の促進を意図して授業設計していなかった.

  • 木下 崇, 本多 満正
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 97-100
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    ジャーナル フリー

    筆者らは,Web サービスコンテンツのうちメッセージングサービスの双方向性に着目し,中学生を対象に,その仕組み理解を育む教材を開発し,実験授業を通して効果を検証した.その結果,開発教材及び指導法による,サーバを介した通信の仕組み理解とチャットプログラムの構成理解の学習効果が見られた.

  • 池田 めぐみ, 伏木田 椎子, 山内 祐平
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 101-104
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,準正課の理系プロジェクトにおいて学生が抱える困難について,探索的に明らかにすることである.質問紙調査の自由記述の回答を分類した結果,学生が抱える困難は,力不足,リソースの不足,人間関係に関する困難,計画と実行に関する困難,その他に分類された.また,困難の種類によって,学生が乗り越えられたかどうかに違いがあるか検討した結果,メンバーの統率に関する困難,資金不足,実力の不足,知識の不足,他活動との両立といった困難については,乗り越えられなかったと感じている学生が多いことが読み取れた.

  • 谷口 伸也, 掛川 淳一, 小川 修史, 森広 浩一郎
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 105-108
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    ジャーナル フリー

    学校現場において,児童生徒の自由記述を膨大な時間をかけて精査することに苦労する教員は多く,その際に参考となる記述内容の傾向を手間なく知りたいと考える教員は多い.そこで,テキストマイニングによる特徴単語の抽出を簡明な手法で行うことができれば,教員の業務効率の向上だけでなく,指導力改善におけるツールの一つになると考えた.筆者らは,生徒に対して実施された授業アンケートの自由記述から抽出される特徴単語に基づき調査を行い,授業改善に資する知見が得られる可能性について検討した.結果,特徴単語から指導観や教育方法の違いを表出できる可能性,および特徴単語を授業改善に活用できる可能性が示唆された.

  • 鬼藤 明仁, 陳 澤金
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 109-112
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    ジャーナル フリー

    本研究では,技術科教育における協同作業の負の側面の認識と,自己効力感,創造的態度との関係を検討した.中学生計736名の質問紙調査データについて階層的重回帰分析を行った.その結果,生徒が一人での作業の方がよいとする「個人志向」への,自己効力感,創造的態度の影響が確認された.特に自己効力感の「失敗に対する不安」が高い場合,「個人志向」も高いことが明らかとなった.また,「個人志向」に,自己効力感の「行動の積極性」と創造的態度の「積極性・自信」の交互作用項からの正の影響が確認され,「行動の積極性」を高めつつ,「積極性・自信」が「個人志向」に結びつくことを抑制することの重要性が示唆された.

  • VR 視界動画を見ながらの語りを通して
    鵜瀬 亮一, 石田 航, 生田 孝至, 内山 渉 , 皆川 俊勝, 西原 康行
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 113-116
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    ジャーナル フリー

    本研究は,VR 技術を用いて中学野球熟達指導者の試合における状況認知を明らかにした.その結果,熟達指導者は1つの試合やプレーを「技術面」や「精神面」,「試合の流れ」「長期的育成・長期的戦略」「短期的戦略」など多面的な観点から捉えていた.こうした中学野球熟達指導者の状況認知的特徴は,大学野球熟達指導者においても報告されており,これらが野球競技における熟達指導者に共通の特徴であることが示唆された.また,中学野球熟達指導者は,長期的視点に立脚しながら,野球を通して選手の自立やパフォーマンス向上を支援する視点を持っていた.さらに,各選手の技量や経験年数,体力差に応じた状況認知を行なっていた.

  • 山崎 寛山, 佐藤 和紀, 柴田 隆史
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 117-120
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    ジャーナル フリー

    中学校英語の音読学習に,英文において強く読む部分を飛び出させて表示する,3D 映像を活用した教材を用いた.強勢する位置を立体的に表示することにより,生徒に強勢についての正しい理解を促すのかを検証することが目的であった.具体的には,教科書の英文を用いて3D 英語教材を作成し,音読の練習をする際に,強勢位置が立体的に表示される3D 群と平面的に表示される2D群に分けて効果を比較した.音読の練習前後に記入したワークシートの結果,両群とも,強勢位置と判断した個数及び間違った単語への誤答数が少なくなった.また,3D 群においては,一般動詞に加えて,名詞や副詞,形容詞で正答が増え,内容語に対する音読練習の効果が示唆された.

  • 藤井 厚紀
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 121-124
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    [早期公開] 公開日: 2019/12/23
    ジャーナル フリー

    本研究では,外的リソースを用いる学習方法の選択肢を提供した授業における,学生の自律性支援の認知,動機づけおよび学習方略の使用の変容について検討することを目的とした.授業を通して行われたプレ・ポストの質問紙調査に基づき,各下位尺度得点を比較した結果,自律性支援の認知および動機づけはポスト調査において顕著な増加を示した.一方,外的リソースを用いる学習方略のうち「教師への救援」の使用は有意に増加したが,「友人への救援」の使用については有意に減少した.これらの結果から,当該授業においては学生の外的リソース方略の使用に顕著な変容が生じたことが確認された.

  • 横浜市の小学校長に対する質問紙調査から
    平野 智紀, 中尾 教子, 脇本 健弘, 木村 充, 町支 大祐, 野中 陽一, 大内 美智子
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 125-128
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    ジャーナル フリー

    本研究では,横浜市の公立小学校の校長を対象に行った質問紙調査をもとに,ICT 活用とアクティブ・ラーニング推進の実態の類型化を行った.推進のタイプについてクラスタ分析を行い,5つのクラスタを得た.クラスタごとの特徴を分析すると,ICT 活用とアクティブ・ラーニング推進に取り組んでいる学校はカリキュラム・マネジメントが進んでおり子どもの成長を実感していることが明らかになった。教員同士が高め合う学校文化が重要であることも示唆された.

  • 森田 裕介, 長濱 澄, 大秦 一真 , 田尻 圭佑
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 129-132
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    [早期公開] 公開日: 2019/12/23
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は ,ヘッドマウントディスプレイ (HMDHMD)を用いた全天球画像の提示による実空間再現性について ,実験的に検証することであった .研究協力者 30 名を 3群に分け ,ラテン方 格 法を用 いて ,HMD 提示 ,全天球提示 ,静止画提示の 3条件を比較させた .実空間再現性の評価を空間記憶テスト ,空間平面再現テスト ,空間把握活動時間を用いて行った結果 ,HMD 提示と全天球提示は ,静止画提示に比べて評価が高いことが明らかになった .また ,印象評価の結果から , 全天球画像の提示に HMD を用いることによって ,現実感と没入感が向上する ことや ,実空間がわかりやすく再現され ,雰囲気も感じやすくなることが明らかになった .

  • 徳竹 圭太郎, 森 裕理, 室田 真男
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 133-136
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    ジャーナル フリー

    生徒に因果関係を捉える視点を身に付けさせるためには,教師が生徒の因果関係の捉え方の傾向を把握する必要がある.本研究の目的は,構造図を用いた歴史学習において生徒個人及び生徒全体の社会的事象に対する因果関係の捉え方の傾向を把握することにある.これを実現するため,構造図に描かれた結線に意味付けを行なって分類し,それを基にS-P 表を用いて生徒の構造図の結線の分析を行なった.その結果,生徒個人及び生徒全体の因果関係の捉え方の傾向を把握することができるようになった.また,結線の正誤情報から,学習内容の理解が不安定な可能性がある生徒を抽出することができるようになった.

  • 立石 力斗
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 137-140
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    ジャーナル フリー

    本研究では,主に知的障害のある児童生徒に教育を行う特別支援学校の新任教師を対象 として,縦断調査から1年間の教師効力感の推移を明らかにすることを目的とした.教師効力感の測定には知的障害児対応教師効力感尺度を用いた.分析の結果,指導困難対応効力感は 夏休み時期に一時低下するが,その後上昇していくことが明らかになった.一方,指導遂行効力感は年間を通じて上昇し続けることが明らかになった.指導困難対応効力感の推移から,1学期中に経験したことを夏休みに振り返り,2学期に再び指導することで指導困難対応効力感が上昇したと推察される.効力感の上昇はティーム・ティーチングや,客観性のある実態把握に基づく指導計画の作成・指導の実施・効果の 検討といった一連の流れにより上昇し続ける可能性が示唆された.

  • 渡邊 菜月, 山本 良太, 今野 貴之, 久保田 賢一
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 141-144
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    ジャーナル フリー

    本研究では,小学校の総合的な学習の時間(以下,総合的学習)において,教師はどのような試行錯誤をして児童主体の授業設計を行っていたのかを明らかにし,総合的学習における児童主体の学習活動を行う際に留意すべき点を示すことを目的とした.総合的学習を担当する教師を対象に,半構造化インタビューを実施した.結果から,教師は,児童主体の授業設計を通して,外部協力者から学習内容についての知識を得るだけでなく,活動への評価を受けること及び児童の自己決定した活動が実現できるように調整し,授業を共につくる同僚として関わっていることが分かった.

  • 長濱 澄, 大出 香菜子, 宮西 祐香子, 加藤 一聖, 丸井 朱里, 森田 裕介
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 145-148
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    ジャーナル フリー

    本研究では,映像教材視聴時における心拍変動,及び,瞳孔径変化に対する主観的難易度の影響を明らかにすることを目的とした.実験では,大学生24名に対して,高等学校情報科の映像教材を視聴させ,心拍変動,及び,瞳孔径変化を測定した.その結果,映像教材における主観的難易度の程度が高かった群では,映像教材の後半パートにおいて,主観的難易度が,前半パートに比べて,有意に高かったことが明らかになった.また,映像教材の後半パートにおけるLF/HF値の平均,及び,瞳孔径の平均は,前半パートに比べて,有意に大きかったことが明らかになった.これらのことから,映像教材における主観的難易度の高低は,心拍変動,及び,瞳孔径変化に影響する可能性が示唆された.

  • 根岸 千悠
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 149-152
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    ジャーナル フリー

    本研究は,大学教員を目指す大学院生向けの教育能力開発プログラム(プレFD)を受講した大学院生が行った学生支援活動を対象に,プレFD がその活動の企画や内容に及ぼす影響,ならびに,学生支援活動によって大学院生が得た気づきについて明らかにすることを目的にした.インタビュー調査の結果,プレFD で行った模擬授業,授業実践,教育・研究・社会貢献の抱負の作成等が,大学院生の立案した「新入生向けに学問との接点を作る」などの学生支援活動の企画や内容に影響していたこと,学生支援活動がプレFD で学んだことを活かす機会になったと認識されていたこと,学生支援活動を通じて,多くの大学院生が学問の厳密性と分かりやすく書くことのバランスに難しさ等を認識していたことが示された.

  • 酒井 郷平, 塩田 真吾
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 153-156
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    ジャーナル フリー

    近年,LINE によるコミュニケーションが子どもたちにとって身近な行為となっており,トラブルも報告されている.こうしたトラブルの要因の1つとして,LINE でのコミュニケーションにおいては,対面の会話によるコミュニケーションとは異なる方法で自分の感情を伝えることや相手の感情を理解する必要が生じるため,「リスク評価に差が生じること」が挙げられる.そこで,本研究ではネットの利用が増加する中学生を対象にLINE でのコミュニケーションにおけるリスク評価の調査を行い,LINE 利用の有無やリスク予見の自信の有無による差を明らかにすることを目的とした.その結果,コミュニケーションの状況において,性別,LINE 利用の有無,リスク予見の自信の有無により,リスク評価に有意差が生じることが明らかとなった.

  • 石井 志昂, 山田 剛史, 中原 敬広, 土井 黎, 村井 潤一郎, 杉澤 武俊, 寺尾 敦
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 157-160
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    ジャーナル フリー

    心理学を学ぶ学生は心理統計の知識と統計ソフトを使うスキルが必要となる.R で心理統計を学ぶ際の課題は,コードの入力やエラーの対処を行うコンピュータスキルが必要なことである.コードの実行に失敗し続けるなどの経験は,R の使用に苦手意識を抱かせる可能性がある.本研究は,R による心理統計の自習用Web 教材の開発を目的とした.本Web 教材の有効性を検討するため,本Web 教材のユーザビリティ評価,及び心理統計とR についてのイメージの変化を調査した.本Web 教材のユーザビリティについておおむね肯定的な評価が得られた.R についてのイメージはポジティブに変化した.R の学習に対し,本Web 教材は一定の有効性があることが示唆された.

  • 川﨑 聡大, 奥村 智人, 中西 誠, 川田 拓, 水田 めくみ, 若宮 英司
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 161-164
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    [早期公開] 公開日: 2020/02/18
    ジャーナル フリー

    包括的領域別読み能力検査を用いて読みや語彙,統語といった読解に関与する言語モジュールを包含した読解モデルの構築を試み,多母集団同時解析によるモデルの交差妥当化を行った.その結果,一般化可能な読解モデルとして緩やかな線形構造をもった相互干渉モデルが示された.今後の学習の苦手さに対する介入やICT の活用の方針立案や効果測定において重要な知見を得た.また特徴的な結果として語彙力が「語彙の量」と「意味の活用」の二つの観点でそれぞれ読解力に異なる影響を与えていることが明らかとなり,読解力向上のための語彙指導を考える上で有意義な知見を得た.

  • 伏木田 稚子
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 165-168
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    [早期公開] 公開日: 2019/11/14
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,学部の専門教育として実施されるゼミナールの授業外活動について,学生の振り返りを基に,構成員や外部とのかかわりとその中で経験する苦労や困難の実態を明らかにすることであった.社会学や経済学など,出身ゼミナールの異なる7名の卒業生を対象に,60分程度の半構造化インタビュー調査を実施し,質的データ分析を行った.その結果,(a)授業内の学習活動を下地とする,(b)教員不在で学生が主導する,(c)遊びと学習の性格が混在するという3つの要素が取り出された.それらに該当する活動の多くは,教員の信念から学生の主体性が尊重される傾向にあり,多様な人々との交流を通じて継続的で強固なつながりが生まれるだけでなく,メンバーとの葛藤や取り組みのハードさに悩む様子も示唆された.

  • 山﨑 健多, 丸山 浩平, 佐藤 隼明, 森本 康彦
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 169-172
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    [早期公開] 公開日: 2019/12/04
    ジャーナル フリー

    部活動では,試合や練習等において気づいたことや指導者からのアドバイス等を記録した練習ノートが用いられており,近年では,学びの記録を電子化しe ポートフォリオとして活用することが注目されている.そこで本研究では,部活動におけるe ポートフォリオを活用した練習ノート(以下,e 練習ノート)の効果を明らかにすることを目的に,紙ベースの練習ノート,e 練習ノートを用いた部活動を通して効果を検証した.その結果,e 練習ノートは,部活動における学びの振り返りをさらに促し,仲間の状況を把握してアドバイスし合う中でチームとしての意識を高め合う密な相互作用を誘発させ,自身の成長・変容を実感させる効果があることが示された.

  • 岩田 貴帆, 田口 真奈
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 173-176
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    ジャーナル フリー

    パフォーマンス課題において教員の評価負担を増やさずに実施可能な形成的評価である相互評価活動は,自己評価力を高める利点もあると主張されている.しかし,ピアからの評価に依存してしまうと自己評価力は高まらない.そこで,他者の視点を取り入れて自己評価を見直す機会となるよう,自己評価とピアからの評価の得点やその根拠が異なった箇所について異なった理由を協議するワークを取り入れた相互評価活動を開発した.実際の大学授業をパイロットケースとして学習活動を実施し,活動の前後で教員評価と自己評価のルーブリック得点の差が小さくなるかどうかを統計分析したところ,部分的ではあるが有意に小さくなった.

  • 深見 俊崇, 木原 俊行, 小柳 和喜雄, 島田 希
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 Suppl. 号 p. 177-180
    発行日: 2020/02/20
    公開日: 2020/03/23
    ジャーナル フリー

    本研究では,レジリエンスの形成に関して先駆的に取り組まれているオーストラリアのBRiTEフレームワークを援用した中堅・ベテラン教師向け研修プログラムを構想・試行した.受講者のコメントからは,180分間という限られた時間にも関わらず,BRiTE の5つの視点を学ぶことで自身が取り組めていない点や自覚していなかった点に気づくことができ,レジリエンスを発揮するための実践につなげる可能性が認められた.

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