2020 年 44 巻 3 号 p. 335-349
筆者らは,高等学校共通教科情報科「社会と情報」のデータ通信方式を学ぶ単元において,参加型シミュレーションによる実験と,事例対比(contrasting cases)の読解とを通して,回線交換方式とパケット交換方式の特徴を科学的かつ探究的に理解することを目指した3時間の授業を設計し,実践した.この評価をするため,a) ミッションを提示した上でモデルを使った参加型シミュレーションと事例対比で学習するクラスと,b) ミッションを提示した上でアニメーションモデルの観察と事例対比を行うクラス,c) ミッションの提示もモデルを使った実験・観察も事例対比もなく,調べ学習により学ぶクラスで比較した.その結果,ミッションを提示した上でモデルを使った学習と事例対比を組み合わせた探究型の授業実践では,生徒がデータ通信方式の特徴を根拠にして自分で説明・提案することができていた.また,パケット交換方式で実装されている複数の通信を同時に実行できる特徴を理解していた.このことから,モデルや事例対比を用いた探究的な情報科の授業実践の可能性を論じた.