2021 年 45 巻 Suppl. 号 p. 173-176
遠隔講義で指摘される様々な問題は,対面授業とは音声環境が異なることで局所的会話(つぶやきや隣人との会話)が発生しにくいことや,それによる授業雰囲気が影響していると考えた.そこで,本研究では,同期型遠隔講義において,局所的会話を可能とする環境を用意し,授業雰囲気や関連する意識の関係を検討した.その結果,孤独感や共有感の課題が解消され,自由・積極的雰囲気を高めることが明らかになった.特に,局所的会話を頻繁にする受講生は,その学習効果を実感している.一方で,音声に立体感がないことで,局所的会話を否定的に捉える受講生がいることも明らかになった.