2022 年 46 巻 1 号 p. 171-182
生理心理学的指標や身体運動の計測を行った教授学習過程研究での,これらの指標や計測結果と認知的処理や情意的反応等との対応を網羅的に提示するために,国内外の研究を対象にシステマティックレビューを行った.レビューの結果示された,これらの指標や計測結果と,認知的処理や情意的反応等との対応を示すと以下の通りであった.(1)教師や学習者の注意の対象の把握に視覚運動系指標.(2)課題等の処理過程の把握に視覚運動系や脳活動に関する指標.(3)課題遂行中のメンタルワークロードの把握に心臓循環系,脳活動に関する指標及びこれらの組み合わせ.(4)不安や感情の把握に心臓循環系,温熱系の指標及びこれらの組み合わせ.(5)課題従事行動や学習者間コミュニケーションの把握に身体の動きにともなう加速度や周波数.また,最近の研究動向から,生理心理学的指標や身体運動の計測の利点を生かした教授学習過程研究を行うには,複数の指標を同時に測定し,それらを組み合わせる必要性が示唆された.