2022 年 46 巻 2 号 p. 419-423
本研究の目的は,中等・高等教育での議論経験と市民性の関連を検討することである.分析対象者は都内中等教育学校の卒業生392名である.カテゴリカル因子分析の結果から,市民性尺度は政治への関与行動とコミュニティへの関与行動の2因子9項目から構成された.次に,社会人口統計学的要因を共変量とした媒介分析の結果から,市民性の下位尺度である政治への関与行動,コミュニティへの関与行動ともに,中等教育での議論経験が直接的に関連する経路と,高等教育での議論の成功経験を介して,間接的に関連する経路が確認された.