日本教育工学会論文誌
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児童の認知する養育者の身内卑下呈示と自己の強みへの注目との関連
野澤 朋未浅井 継悟
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2023 年 47 巻 1 号 p. 171-179

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抄録

自らが劣っているように振る舞う自己卑下呈示は,日本文化において望ましい行動と捉えられている.また,自分ではなく同席する家族が劣っているように示す身内卑下呈示についても望ましいと考えられている.これまで,身内卑下呈示は主に配偶者を卑下する内容を中心に研究されてきた.しかし,実際には,養育者が他者に対し,自分の子どもを卑下する身内卑下呈示も存在する.本研究の目的は,養育者が行う子どもを卑下する身内卑下呈示と子どもの自己の強みへの注目との関連について明らかにすることである.167名の児童を対象に質問紙調査を行った結果,養育者の身内卑下呈示は男女,学年を問わず,子どもの自己卑下呈示規範の内在化に繋がり,身内卑下呈示への価値判断と正の関連を示していた.また,養育者の身内卑下呈示は子どもの自己の強みへの注目と負の関連があることも明らかとなった.これらのことから,身内卑下呈示,自己卑下呈示と自己の強みへの注目との関連について考察された.

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