日本の大学生は多くの時間を正課外活動に費やしており,正課外活動での経験が大学生のさまざまな発達に寄与していることが予想されるが,これまでの研究では正課外活動経験が大学生の発達にどのように影響しているのかは明確でなかった.本研究は,大学生を対象としたアンケート調査を用い,正課外活動経験を多面的に捉え,その経験が大学生の発達にどのような影響を与えるのかについて検討したものである.その結果,正課外活動経験をもつ者は,正課外活動に不参加の者やアルバイトのみの者に比べて汎用的技能が高いことが示された.また,正課外活動経験を複数の側面から捉え汎用的技能への影響を検討したところ,一部の先行研究に反し,参加期間や活動時間は汎用的技能に影響せず,正課の学習との関連づけのみが汎用的技能に影響することが示された.これらの結果を受けて,大学生の汎用的技能を高めるためにどのような教育が可能なのかについて考察した.