2023 年 47 巻 2 号 p. 297-308
本研究では,光学顕微鏡とテーブルトップ型顕微鏡画像提示システム(以下,MT スコープ)を用いた実践授業における顕微鏡観察時の活動場面を分析し,MT スコープの有用性を評価した.また,児童の協同作業に対する認識からMT スコープを用いた授業を評価した.その結果,光学顕微鏡を用いた授業では,教師の発問に対して児童が気づくという様子がみられた.MT スコープを用いた授業では,児童同士がお互いの発言に気づき微生物を観察していく様子が明らかになった.また,協同作業に対する意識が低い児童は,光学顕微鏡を用いた授業よりMT スコープのほうが,気づきや意欲において有用であることが示唆された.そして,協同作業に対する意識が高い児童は,光学顕微鏡を用いた授業やMT スコープを用いた授業にかかわらず,協同作業に対する意識が低い児童と比較して,楽しみながら小さな生き物を観察していたことが明らかになった.