本研究では,東京2020パラリンピックのスポーツピクトグラムを実験刺激として,静止画および動画という提示形式の違いが,ピクトグラムの視認性に対して与える影響について検討した.視認性を評価するために,視覚探索課題を用いた実験の結果,探索の正確さと速さのいずれの点においても,静止画ピクトグラムの優位性が示された.この結果は,ピクトグラムの情報量および課題特性によってもたらされたものであると解釈された.今後は,結果の一般性をはじめ,たとえばAAC の実践活動に対する示唆が得られるような視点に立って,理解度もあわせた検討が行われることによって,多くの研究知見が蓄積されていくことが望まれる.