本研究は,視覚シンボルの意味明瞭度を規定する要因として,シンボルが示す概念の「心像性」と概念をシンボル化したときの「日常重要度」に着目し,動画シンボルと静止画シンボルに対して意味明瞭度を調べた北神・室井(2005)の調査データを対象として分析をおこなった.その結果,静止画シンボルの場合においては,シンボルの日常重要度が高いほど意味明瞭度が高くなることが明らかとなり,さらに,シンボルのタイプに関わらず,心像性が高いほど意味明瞭度が高くなることが明らかとなった.これらの結果は,わかりやすいシンボルの開発のためには,デザインの工夫のみならず,シンボルが示す概念の性質にも目を向ける必要があることを示している.