日本教育工学会論文誌
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教育実践研究論文
高校物理における概念変容を促す授業実践の効果検証と自己効力感の調整効果の検討
髙橋 幸太郎赤松 大輔
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2024 年 48 巻 2 号 p. 411-421

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抄録

物理学習は,その難しさから多くの高校生に忌避される傾向にある.本稿では,この難しさの原因を「誤概念」の視点から解釈し,物理概念への概念変容を促す授業デザインを提案し,その効果を実践的に検討した.本授業デザインは,物理概念と誤概念の対立 (授業前半) と周辺概念との関連付け (授業後半) を中心に構成し,これら2点の効果を高めるために周辺概念に関する復習 (宿題) の工夫を取り入れた.分析の結果,物理概念の理解度と自己効力感が実践の前後で向上した.さらに,介入前の自己効力感による調整効果を検討した結果,自己効力感が高い生徒に比べ,低い生徒の方が授業実践による物理概念への概念変容がより促進され,自己効力感の抑制的な調整効果が見いだされた.これらの成果は,物理が苦手な高校生の概念変容を促したという点で物理教育研究に,概念変容に対する自己効力感の調整効果を示唆したという点で概念変容研究に,それぞれ意義が生じると考えられる.

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