2025 年 49 巻 1 号 p. 187-196
学習成果を可視化・認定する手段としてデジタルバッジの活用に注目が集まっている.本研究では教育実践研究におけるデジタルバッジの活用方法の違いを検討するために,デジタルバッジを教育現場へと導入してその効果を検証している教育実践研究の事例を取り上げ,(1) 発行の対象となる学習成果,(2) 発行の根拠となる学習評価のプロセス,(3) デジタルバッジに付随されているメタデータの3つの観点で教育実践研究の事例を分析した.その結果として,教育実践研究におけるデジタルバッジの用いられ方には違いがあることを明らかにした.その上で,よりよい実践を創出するには教育現場の課題に応じてデジタルバッジの活用方法を使い分ける必要があること,デジタルバッジ活用による教育へのインパクトを検証可能にするために実践研究においてはその活用方法を精緻に記載する必要があることを指摘した.