本研究の目的は,定時制高校においてディベートの「反論」の訓練で批判的思考を働かせる際に動画を用いた授業を開発し,その授業がどのような効果を与えるか明らかにすることである.研究の結果,下記の (1) から (3) が明らかとなった.(1) 開発した授業は,共有群と個人群の「論理的思考への自覚」「客観性」の育成を促し,「探究心」は共有群のみ育成を促すことが明らかとなった.(2) 本研究の授業実践によって,「反論」における批判的思考プロセスの達成度は高まることが明らかとなった.(3) 動画を用いて「反論」を訓練する授業は,対人関係に影響を与えず,対人関係が悪くならないと考える人数は,そうでない人数より多いことが明らかとなった.