論文ID: 48087
本研究では,文書から同定した構成要素を関連付け統合することで統合的な理解を得る読解執筆プロセス「構造的統合化」を,大学生が実践するための支援システムを開発・評価した.本研究で開発したシステムは,文書の構成要素を同定・分解し,その要素についての説明を記述する「ハイライト機能」と,ハイライト機能を用いて行った分解について学生自身が見直し修正していくためのヒントを提示する「サジェスト機能」によって構成される.サジェスト機能は,学生の行った分解と,教材を作成した課題設計者の行った分解の差分を学生に答えさせる問いを,GPT APIを用いて生成することで実現した.評価実験の結果,大学生はシステムから生成されるサジェストとの対話的なやり取りの中で,自ら見出した文書の構造を見直しつつ,文書の内容を踏まえた要約を執筆していた.このことから,本システムが大学生の構造的統合化を引き出すために有効である可能性が示唆された.