教育実習は,実習生だけでなく,実習を担当した指導教員の学びにつながることが指摘されている.しかしながら,これらの知見は指導教員の立場から得られた事例記述的な研究や,指導教員のみから収集されたデータで議論されることがほとんどであった.そこで,本研究では,教育実習生の受け入れ経験の有無によって,自律的な学習姿勢および教師効力感に違いがみられるのかについて調査を行った.542名の教員を対象に自律的な学習姿勢,教師効力感を測定したところ,傾向スコアを用い,性別,年齢,教員経験年数などの共変量を加えた上でも実習受け入れ経験のある教員はそうではない教員よりも,自律的な学習姿勢のうち,児童生徒・保護者の視点の考慮,前向きな挑戦姿勢,自己省察の因子や,ICTの利用に関する教師効力感が有意に高いことが明らかとなった.これらのことから教育実習が持つ教師教育的機能について議論された.