2019 年 101 巻 5 号 p. 201-206
スギの挿し木苗における生分解性ペーパーポットの利用可能性を明らかにすることを目的として,ペーパーポットで育成されたスギ挿し木苗の植栽後2年間の成長と根系発達をコンテナ苗と比較した。その結果,2年間の地上部成長および発根量には苗種間で差はなく,植栽後ペーパーポット苗はコンテナ苗と同等の成長に期待できることが示された。植栽2年目におけるペーパーポット容器の分解率は2割程度であり,容器のほとんどが残っていた。しかし,容器を着けたままの植栽が根の伸長を阻害することなく,ペーパーポット容器を突き破って伸長する根が観察された。また,根鉢外へ伸長した根の本数や根長および根元径についてもコンテナ苗と同等かそれ以上であった。以上の結果から,植栽におけるスギ挿し木ペーパーポット苗の有効性が示された。