2021 年 103 巻 3 号 p. 215-223
地方自治体で普及のすすむ森林クラウドで効果的に伐採地情報を活用できるよう,ALOS-2/PALSAR-2データを用いた伐採検知技術を開発,検証した。茨城県を対象とし,セグメンテーションにより小領域に分割し,2時期の画像間で後方散乱係数が低下した箇所を抽出する方法を採用した。現地調査や光学衛星画像との比較により,精度検証や手法改良を行った。その結果,PALSAR-2の画像歪みが生じる山間地においても,マイクロ波の局所入射角に応じたスクリーニングにより誤検知を減らせることや,マイクロ波照射方向の異なる画像の併用により未検知を減らせることが示された。検知精度は,山間地であってもユーザ精度82%,プロデューサ精度76%と十分な値が得られた。次に,茨城県の森林クラウドに伐採検知情報を載せ,四つの自治体に試用および現場確認してもらう実証試験を行った。ユーザ精度は83%で,特に山奥の伐採地の把握に有効であることが示され,また,30%の伐採地は無届けであることも確認された。このように,森林クラウドを通じて伐採地を効率的に監視するうえでのPALSAR-2データの有効性が示された。