日本森林学会誌
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短報
過密なスギ人工林における樹冠長と直近5年間の胸高直径成長量との関係
國崎 貴嗣 白旗 学松木 佐和子
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2021 年 103 巻 6 号 p. 401-404

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抄録

過密なスギ若齢,壮齢林計5林分を対象に,樹冠長と直近5年間の平均胸高直径成長量との対応関係を調べた。林木の胸高直径成長がほぼ停止する胸高直径の閾値は林分で異なるのに対し,樹冠長の閾値はいずれの林分でも4.0 mとなり,樹冠長4.0 m未満の平均胸高直径成長量は0~0.04 cm/年と,全く,あるいはほとんど成長していなかった。樹冠長が4.0 m以上の林木を対象に,樹冠長から4.0 mを減じた差引き樹冠長と直近5年間の平均胸高直径成長量との関係を共分散分析で解析し,胸高直径を共変量とした共分散分析モデルと比較した。その結果,後者の自由度調整済み決定係数は前者のそれより明らかに高かった。スギ過密林での間伐木選定にあたっては,樹冠長4.0 m未満の林木を胸高直径成長停止木,樹冠長4.0 m以上の林木については胸高直径が大きいほど活力のある林木として判断すれば良いと考えられる。

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