富士山亜高山帯の雪崩発生から数十年経過した調査地Aと雪崩発生から間もない調査地Bにおいて,イタドリパッチのカラマツ実生の定着場所(マイクロサイト)としての機能を明らかにすることを目的とし,イタドリパッチの分布とカラマツ実生の定着状況について比較検討を行った。調査地Bにみられたイタドリパッチは調査地Aに比べ大きなものが多く,その内側には樹齢の高いカラマツ実生が定着していることが示された。このことから,調査地Bのイタドリはカラマツ実生の撹乱跡地への侵入を助けるナースプラントとしての機能があると考えられる。一方で,調査地Aのイタドリはパッチサイズが小さく,次の遷移段階の構成種の侵入におけるナースプラントとしての機能を十分に果たしているとは考えられない状況であった。