2020 年 53 巻 8 号 p. 675-680
診療録における重要な記録の一つである手術記録は,正確に迅速に記載されることが求められる.手術記録にイラストを加えることは,読み手である他者に必要な情報を簡便に伝えるために効果的であり,また修練過程にある外科医にとって自己研鑽や教育のツールとしても,非常に大事なことと思われる.近年,タブレットおよび筆圧検知機能の付いたスタイラスペンなどの優れたヒューマンインターフェースデバイスの登場により,誰でもドローイングをできるようになった.デジタルデータとしてイラストのテンプレートを作成し,個々の手術症例における差異を表現する修正を加えることで,迅速に正確なイラストを作成できるようになったと感じている.これまでのデジタルイラスト作成の経験と考察を述べたい.