抄録
負のエネルギーバランスに伴って血中β-ヒドロキシ酪酸(BHB)濃度が高くなる第四胃左方変位(LDA)牛について,アミノ酸代謝の特徴を臨床例から検討した.分娩後に発病したLDA牛24頭を対象にBHB濃度 に基づいてABHB群(BHB濃度1.2mmol/ℓ未満,10頭)とHBHB群(BHB濃度1.2mmol/ℓ以上,14頭)の2群に区分して,それぞれの血中遊離アミノ酸(FAA)濃度を比較した.その結果,HBHB群ではバリン,ロイシン,イソロイシンの有意な高値と,アラニン,セリンの有意な低値が観察された.これらの成績から,負のエネルギーバランスを伴ったLDA牛におけるFAA濃度の動態は,エネルギーの著しい不足に対応した体蛋白質の異化亢進に基づいた変化を表しているものと考えられた.