抄録
本研究は、地域包括支援センターで勤務する看護職が、アルコール関連問題を抱える独居高齢者に対する支援と、支援における困難の内容を明らかにすることを目的とした。地域包括支援センターで勤務する看護職を対象に、自由記述の自記式質問紙調査票を用いた横断調査を実施した。209名の回答を分析対象とし、内容分析を行った。支援に関して【飲酒量低減に向けた方略】など10カテゴリ、支援における困難に関して【治療や支援の受け入れ拒否】など11カテゴリが生成された。飲酒による介護サービス利用中断、独居故に問題が潜在化しやすいなど、アルコール関連問題を抱える独居高齢者ならではの結果が示された。このような独居高齢者に対しては、ハームリダクションと呼ばれる概念にもとづくアプローチや、孤立への支援が重要であると考えられた。一方、精神疾患を抱える高齢者に対する支援者や、アルコールに関する専門機関が協働しやすい体制づくりが課題として示された。