本研究では,社会が求める人材と大学院が輩出する人材のミスマッチを解消し,博士人材の多様なキャリアパスを実現するために構築・実践した「新たな大学院博士課程教育プログラム」について,その方法の妥当性・有効性と効果を検証した.そのために,熊本大学博士課程教育リーディングプログラム「グローカルな健康生命科学パイオニア養成プログラムHIGO(HIGOプログラム)」の構築過程と実施内容を俯瞰し,カリキュラムの記録と修了者の進路,アンケート結果を分析した.そこで,本稿では,HIGOプログラムのノウハウを活かして新たにスタートした2つの大学院教育プログラムを紹介し,HIGOプログラムを含めたこれらの新しい博士課程教育プログラムの構築・実践の意義や課題,将来のあり方について議論したい.