意図学習と偶発学習における相対的孤立効果
ジャーナル
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1968 年
39 巻
3 号
p. 126-132
詳細
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発行日: 1968/08/10
受付日: 1968/02/01
J-STAGE公開日: 2010/07/16
受理日: -
早期公開日: -
改訂日: -
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訂正情報
訂正日: 2010/07/16
訂正理由: -
訂正箇所: 論文抄録
訂正内容: 訂正前 : 本実験では意図学習と偶発学習条件下とでの相対的孤立効果を問題とした. 干渉説の立場から, 相対的孤立効果は系列内干渉程度に依存しており, したがって意図学習で, リストの長さの増加が相対的孤立効果の出現に導びくと予想される. 一方, ゲシタルト説からは知覚体制化の程度が問題であり, リストの長さの短かいほど, 提示回数の多いほど, 体制化が容易であり, 意図, 偶発両条件に孤立効果の出現が期待された.'
意図学習としては通常の系列暗記学習にあるSs (S群) を, 2つの偶発学習条件としては, Sに材料を提示する強い偶発学習条件の実験者 (E群) とそれを書記する弱い偶発学習条件の記録者 (R群) を設定した. 学習材料は同数の3桁数字と2文字の無意味音節からなる系列リストであり, リスト内項の孤立, 凝集はSiegelの手続に準じた. また提示回数 (P1, P3), リストの長さ (L12, L16, L20), 記憶検査 (直後, 20分後再生) の変数下で実験を行なった. 結果は次のごとくである.
1. 意図学習では, L20-P3に相対的孤立効果の傾向を学習上認めたが, 有意でなかった.
2. 偶発学習では, L12-P1条件でR群が, P3条件でE群がそれぞれ有意な相対的孤立効果を学習および把持るに得た. またL16では, P1・P3ともE群が学習上有意な相対的孤立効果を示した.
3. 従来の結果と同様, 一般に意図学習は偶発学習よりも有意に高い学習および把持を認めた. また, 意図学習は提示回数の関数として非常に有意な学習および把持の増大があった. しかし1回提示下ではリスト間に有意な差を得ることができなかった.
4. 偶発学習は意図学習に較べて低いけれども, 一般に提示回数を関数として, 学習および把持の増加を示した. また提示回数にかかわらず, L16の時, マクシマムな学習を示した. R群はL12-P3およびL20のP1とP3で, E群よりも有意に勝っていた.
5. 忘却は一般に偶発学習で高かった.
以上の結果を, 干渉説, 知覚体制化, 差別化反応の仮説から検討した.
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