2010 年 71 巻 3 号 p. 702-705
症例は53歳,男性.心窩部痛を主訴に発症3日目に当科受診.腹部CT検査より十二指腸潰瘍穿孔と診断し緊急手術を施行した.十二指腸球部外側に径3.5cmの穿孔を認めたが,炎症性に癒着した大網や,腸間膜が硬化・短縮した空腸による閉鎖術は困難と判断した.胆嚢を切開してフラップを形成し,漿膜側を縫着して胆嚢パッチによる閉鎖術を施行した.経過良好で術後14日目に退院した.穿孔部の大きい十二指腸潰瘍穿孔の手術において,胆嚢を用いて穿孔部を閉鎖する術式は,大網や空腸が使えない場合に有用な選択肢と考えられた.