日本臨床細胞学会雑誌
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原著
子宮体部原発腺癌における腹腔細胞診の意義
—細胞増殖能の観点からの検討—
松井 成明梶原 博山下 和也森下 明博伊藤 仁飯田 哲士村上 優三上 幹男佐藤 慎吉中村 直哉
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2013 年 52 巻 4 号 p. 310-315

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抄録

目的 : 子宮体部原発腺癌の腹腔内出現例における細胞増殖能の検討と予後の解析を行った.
方法 : 2000∼2010 年の間, 組織学的に子宮体部原発腺癌と診断され, かつ子宮内に腫瘍組織が限局していた症例を用いた. 腹腔細胞診陽性症例の細胞増殖能の検討には, 1 型体癌 20 例, 2 型体癌 11 例を用いた. Papanicolaou 染色を脱色し, 1 次抗体として MIB-1 を酵素抗体間接法にて染色した. なお, 類内膜腺癌 Grade 1, 2症例については, 腫瘍細胞の同定が困難であるため MOC31 による重染色を行った. 生存率の評価は前述の腹腔細胞診陽性例と陰性例 (1 型体癌 32 例, 2 型体癌 14 例) を比較した.
成績 : 腹腔内の腫瘍細胞における MIB-1 発現は, 1 型体癌で平均 1.4%. 2 型体癌で平均 16.1%. 原発巣における MIB-1 発現は, 1 型体癌で平均 35.0%. 2 型体癌で平均 57.1%. 5 年生存率は, 1 型体癌における腹腔細胞診陽性例で 85.6%. 陰性例で 96.0%. 2 型体癌腹腔細胞診陽性例で 50.9%. 陰性例で 64.2%を示していた.
結論 : 腹腔内に出現する腫瘍細胞の MIB-1 発現は, いずれも原発巣に比して発現率の低下が認められた. 累積生存率の比較でも腹腔細胞診陽性例, 陰性例間に有意差はみられなかった. 子宮内に限局した体部腺癌症例の場合, 腹腔内の腫瘍細胞は増殖能に極めて乏しく, そのほとんどが消退する経過をたどることが示唆された.

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© 2013 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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