抄録
IUDと女性生殖器における放線菌感染との関係を究明する目的で, IUD装着者105例と非装着者100例を対象とし, 細胞学的検索によって放線菌検出率を, IUD装着者と非装着者別, IUDの種類別, 細胞採取部位別に求め, さらに放線菌検出群と非検出群のIUD装着期間を比較した. 加えて, 放線菌感染の細胞診所見の特徴を観察した. その結果, 放線菌検出率は, IUD装着者14例 (13.3%), 非装着者0例 (0%) であり, IUDの種類別では, 差は認められず, 細胞採取部位別では, 腟スメア105検体中8検体 (7.6%), 頸管スメア105検体中12検体 (11.4%), 内膜スメア50検体中0検体 (0%), IUDのタッチスメア50検体中2検体 (4%) に放線菌が認められた.放線菌検出群は非検出群に比し, IUD装着期間は長かった. 腟, 頸管スメアのPapanicoloau染色で観察される放線菌は, 黒色, 褐色ないしは灰青色の菌塊として存在し, 形は不定, 中心部は菌糸状, 顆粒状 (sulphur granuies) を呈し, 周辺に向かって放線状のfilamentを延ばしている.
以上より, IUD装着者の腟, 顎管には, 放線菌が特異的に感染するが, 子宮腔内での放線菌増殖はまれであると考えられた.