日本臨床細胞学会雑誌
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骨巨細胞腫の細胞学的検討
鹿島 健司堀内 啓瀬田 章宇於崎 宏倉田 厚高澤 豊柴原 純二北川 洋竹内 賢吾石田 剛
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2000 年 39 巻 6 号 p. 453-458

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抄録

目的および方法:骨巨細胞腫の細胞像の特徴やバリエーションを明らかにするため, 病理組織学的に骨巨細胞腫 (GCT) と診断された11例につき捺印細胞診または穿刺吸引細胞診を施行し, 細胞学的所見および組織学的所見を比較検討した.
結果: GCTの細胞像では, 破骨細胞様多核巨細胞および単核細胞が出現しており, 組織像をよく反映していた.細胞学的には単核細胞はしばしばクラスターを形成していた.細胞質は短紡錘形~多稜形であり, 細胞質の先端が突起状になっているものが目立ち, 核は類円形で核膜は平滑であった.クロマチンは微細顆粒状で均等に分布し, 小型の核小体が1~2個みられるものが混在していた.
結論: これらの細胞学的特徴は他の破骨細胞様多核巨細胞の出現を伴う骨腫瘍との鑑別上, 有用な所見と思われる.再発や肺転移の有無を含め, 腫瘍細胞の特徴に関しては症例による差は見いだせなかったが, 二次性の変化を反映して壊死・ヘモジデリン沈着・炎症細胞浸潤などの多彩な像を示す症例も認められ, 鑑別診断時に留意する必要があると思われる.

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